居酒屋ライブ
ロンドンでライブをやってよく思うのは観客が聞いている音もモニターからの音も一般的にあまりよくないと言う事だ。日本でライブをすると音の良さに感動してしまう。ニールにそのことを話すといつもうらやましがる。今のところ僕のソロでしか日本ではやっていないので残念だが。
別に使っている機材が悪いというわけでもない(ひどいところもよくあるが)。基本的にサウンドエンジニアーのレベルが低いのである。つまりちょっとサウンドエンジニアリングを知っている人間でもやってしまうということだ。
日本人は完璧主義で物事をきちんとやるそれに比べてイギリス人はもっといい加減なんではないかという人もいるかもしれない。だがそれよりもライブに対する考え方がちょっと違っていると思う。
日本ではライブは何か特別なもの。ライブ会場に行ったらきちんと音楽を聴かねば。2500円のチケット買ってるし、お酒を飲むのはほどほどにしよう。こんな感じだろうか。
こちらでも有名ミュージシャンのライブはそんな感じだが、素人バンドのライブはちょっと違うと思う。ライブは全然珍しくないもの。ロンドンでもライブハウスはあるがパブでやっているライブではみんなガンガン酒を飲むし、聞きたいバンドは聞くし、聞きたくないバンドは聞かない。
べちゃくちゃ喋っていたりも平気でする。チケット代も5ポンド(600円くらい)くらいだ。ただで見れるものもたくさんある。つまり日本でいうならば居酒屋に言って音楽を聴く感じだろうか。イギリスのパブは日本の居酒屋みたいなところだから仕事帰りに一杯ひっかけて行ったり、皆で飲みにいったりする場所だ。
僕は居酒屋が主催したライブが日本に在ってもいいのではないかと思う。しかも音もよく酒も飲み音楽もちゃんと聞く。ライブハウスのように一晩で5バンド出たら皆でわいわい話す時間が取れないから2バンドぐらいにして置く。ステージのサイズは小さめにしてシークレットライブ的にしてミュージックチャージは300円ぐらいにする。どうだろうか?
音楽が市民の生活にもっと密着するのではないだろうか。
O-ARC / マサ
日本人シンガーの英語の発音秘話
ロンドンでミュージシャンをやっていて気をつけていることのひとつに歌うときの発音の問題がある。
僕は一語一語頭の中で発音を確認しながら歌うようにしている。歌を聞いている人が僕が何を言っているのか、わかるようにである。ずいぶん昔のGIGで、ある女性ファンの一人から声は素晴らしいし、曲も最高と言われて嬉しかったのもつかの間、最後に僕が何を歌っているのかわかったらもっといいと言われたときにショックを受けてしまった。
僕はハッキリと明確に歌ったつもりなのだが…….それからというもの本当に発音には注意するようになった。
日本人として難しい発音はLとRの違い。VとBの違い。THとSの違いなどが大きなものである。これは最低でも克服しなければ元もこうもない。たとえばLとRの違いは日本語でいえば「あ」と「え」ぐらい違う。たとえば「….君をあいしている」….という歌詞は「….君をえいしてる」となり何を言ってるのかさっぱり分からなくなる。もし他の発音もきちんと区別できなければ、例えば
「…..君をえいしてる。これがぼくのふんとのかもち。ひみのことをはんがえるときゃうもねむれない。」となってしまう。
これはこれで面白いし、何を言っているのか本当に全くわざと分からせない声の響きだけで歌うのならいいが。もしちゃんと歌詞があるのならばハッキリと歌うべきだと思う。ちなみにミックジャガーがステージで歌っているときは何を言っているのかネイティブもわからないという人もいると思うが、彼はこれらの発音のミスはしないというか、ミスができない。
桑田圭祐さんが日本語で何を歌っているか分からなくても「あ」と「え」のような間違えはおこさない。というか起こせない。別に本場もんの発音で歌えと言って居るのでは全然ない。外国人のアクセントがあっても全然かまわないしそれが逆に良かったりもする。いい例がビョーク(Bjork)だ。バリバリのアクセントがあるし彼女の歌詞なんかはネイティブが書いた歌詞とは違う、ちょっとこっけいな言い回しがあるがそれが返っていいのである。
大切なのは何を言っているかが伝わることだ。
O-ARC / マサ
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